2016.05.12
ゲーム スマホ 3Dの大革命が起こるか 人材の影響力
先日、とある3D会社で面白い話を伺いました。有名スマホSAPさんに打ち合わせに呼び出され、ゲームに実装する3Dの案件についてご相談を受けたそうなのですが、どうにも相手の担当者の方がちんぷんかんぷんなことを言っているようなのです。30分ほど話した後、「あれ?私、見当違いな会社にご相談しちゃいました?」と言う話しになったので、「そうだと思います。」と言って帰ってきたとか。また、他の3D会社でもスマホゲームの大きめの会社に打ち合わせに行った際、相手方の担当の方が入社半年のディレクターで、3Dでの制作ははじめて。やりたいゲームのイメージはあるものの、どう制作したらいいかわからないので提案についての判断ができず、とはいえ舐められたくなかったのか、しきりに「〇〇(既存タイトル)みたいなクオリティを出せることが最優先事項なので、3Dならたくさん宛てはありますし、他の候補企業も含めて検討して必要なときだけ連絡します。」と強気な姿勢。内心、「あのタイトルみたいに作るのであれば、モーションキャプチャー撮らなきゃ行けないから色々な会社に聞いて最終的にはやれるところ限られてくるだろうな・・・」と思いながら帰ったそうです。
圧倒的にスマホ会社に3Dの人員が足りていないと言う話しはいくつかの記事でもご紹介してきましたが、
3D会社から見て、スマホ会社の担当者さんはかくも頼りなく見えているようなのです。しかし、この話には続きがあります。前述のモーションキャプチャーの案件で、1ヶ月後、再度この会社に、同じ会社の別の担当者から連絡が入ったのです。「やっぱりうちに声がかかったか。」と思いながら打ち合わせに向かうと、そこには入社直後だと名乗るベテラン3Dデザイナー兼アートディレクターがおり、的確に仕事をさばき切る様子が。何があったのか聞いてみると、そのベテラン3Dデザイナー兼アートディレクターは前職時代つながりがあったこの会社に、つい最近引き抜きに合い、いきなり3Dの上長として迎え入れられたのだと言います。1人、ベテランのスタッフが入ることで一気に3Dの事業部が動き出し、プロジェクトも円滑に進むようになったのだそうです。これには3D会社の方も「別の会社になったみたいだった。」と驚いていました。
実はこういうことは珍しくはありません。会社は器にすぎないので、そこに集まる人材の能力で、ガラッと会社が色を変えるということも往々にして起こり売ります。そういった意味では、現在3Dに力を入れて積極採用している会社や、採用に時間がかかるため開発会社自体をM&Aして傘下に入れている会社などは、今後大きく変化があると見て良いでしょう。
そして、そのように会社を大きく変化させた人には忠実な部下もつき、発言力も高めていきますので、外注先として付き合っていきたい会社さんはそうした情報を仕入れて、有力な外注担当者さんとお付き合い出来るようになっておくと今後が動きやすくなっていくでしょう。自らも手を動かしていたようなプレイングマネージャークラスの人がいるのであれば、そういった方は現場の動きもよく知っているので実際の仕事もしやすく、息の合った仕事が出来れば長いお付き合いも見込めます。
また、これは飛び道具的な方法ですが、社内の優秀なデザイナーで転職を希望しているスタッフを取引先に送り込むということもあるそうです。そうして円満退社してもらい、取引先から自社に発注をしてもらうと、平安時代の摂政さながら娘を天皇に嫁がせるかのような感覚で盤石な営業体制が築けるといいます。なかなかタイミングと本人の意思が伴わないと難しいことですが、考えて見るのも良いかもしれません。