2016.04.20
アニメゲーム漫画遊技機 炎上を防ぐ・炎上した際の対策は!?
普段、アニメゲーム漫画業界のみなさまとお話ししていると、度々耳にするのは「炎上」という言葉です。一般的にネット社会では「炎上」はSNSやサイトなどでなんらかの不祥事を起こしたことをきっかけに爆発的に注目を集める事態や状況のことを言い、 情報社会学の研究者で慶應義塾大学 政策・メディア研究科特任准教授の田代光輝氏は炎上を「サイト管理者の想定を大幅に超え、非難・批判・誹謗・中傷などのコメントやトラックバックが殺到することである」と定義しています。最近ではわざと感情を煽り、購買活動にまで繋げることを「炎上商法」と言い、広く認知されました。しかし、このネット社会における「炎上」よりも昔から、アニメゲーム漫画業界では「炎上」という言葉が使われてきました。グーグルで「炎上案件」と入力するとサブキーワードに「開発」と出てくるほど開発の現場で炎上案件に悩まされている人は多いです。同じように「炎上案件」で検索してよく出てくるワードは「火消し」です。開発・制作案件で使われる「炎上」とは、ネット業界の「炎上」とはまた違った意味合いで、まさに「火事場」にいるといった意味合いで使われることが多いようです。消火・鎮火すること=無事にリリースすることとされており、炎上案件の火消しを上手に行っていかに無事リリースまで漕ぎ着けるか、というところが重要視されています。次に、炎上案件にどんなパターンがあるのかと、その原因についてご紹介していきます。
これは最も多いパターンの炎上案件ですが、外注会社Aに仕事を頼んだものの、納期1週間前になって突如間に合わない!と言い出すなど、完全にスケジュールに余裕のないパターンです。「できる」と言って受けた案件が、蓋を開けてみたら技術的に難しく時間がかかってしまったり、いきなりスタッフがやめて穴ができてしまったり、見通しが甘くて間に合わない雰囲気を感じつつ相談せずに進めていて慌てて他にも外注先を探す必要が出てきたりと、状況に応じて時間に間に合わない理由が複数あります。また、外注会社のせいだけではなく、そもそも着手するタイミングからすでに間に合わないということがわかりきっている、発注ミスのパターンもあります。スケジュールに間に合わない原因は、嘘をついていることと報告・相談不足が大半です。営業のテクニックとして、やったことがないことをやれます!というのは構わないのですが、本当にやれるようにしないとそれは嘘になってしまいます。やれます!と言うのは本当にやれる目算が立っている時にしましょう。例えば、自社ではまだ実務として使っていないけど、周りの会社は使っている新技術などの場合は、他社ができるなら対応可能なはずだし、ある程度研究に時間をかけても納期に間に合いそうなら受けてもいいと思います。しかし、まだどこの会社もやったことがないような技術レベルの内容を現実的でない納期で依頼された場合、どんなに報酬が良くてもきちんと断るなり研究開発期間を見越して交渉する必要があります。発注する側の会社は、他と同じことをやっていては勝てないので毎回無茶なこと、新しいことを要求してきます。その実現可能なラインを見極めて交渉するのが、制作・開発現場のプロとしての外注会社の最初の仕事です。この見通しが甘いと、案件は炎上します。
企画の入り口は決まっているものの、最終的な着地点が決まっていない・もしくは見失ってしまったパターンです。発注側のディレクターがしっかりしていない場合や、メーカーとの間に1社、中抜き業社を挟んでいる場合によく見られます。企画の大枠を決めたぐらいの段階で見切り発車してしまい、着地点がどこでどういう演出を挟んでその開発や制作にどのような技術が必要なのかを落とし込まないせいで、後から後から必要なものが発生してきて前に進めていないのに敵が無限に襲いかかってくるRPGのような徒労感に襲われます。また、中抜き業社を挟んでやりとりする、いわゆる伝言ゲーム方式で仕事を進めているせいで、メーカーの意向がうまく伝わらず仕様の変更やテイストの微妙な違いについて把握できず何度もチェックバックが入った末に最終地点を見失うということもままあります。これを防ぐためには中抜き業社を間に入れないことと、何度もクライアントと打ち合わせを行い、方向性の確認とその着地に必要な技術の細かい話をつめることです。何度も打ち合わせをするのは、時間も取られるし骨の折れることではありますが、最終的に炎上して他社に大急ぎで仕事を分けて手伝ってもらって利益を減らして借りを作るよりよっぽどいいはずです。
特に遊技機業界に多いことですが、遊技機用の映像制作を、その作品を手がけたアニメ会社に依頼した際納期1週間前になって確認をしたら全く手をつけていなかった!ということもあるようです。特にテレビシリーズを手がける元請企業には多いことですが、アニメ会社は非常に忙しく毎週のテレビ放送に向けて仕事をしているため、常にスケジュールに余裕がありません。そこに本業とは違うジャンルの仕事を依頼しても、そもそも請けられる手が空いていませんし、それがどんなに報酬のいい仕事だったとしてもアニメ業界の会社は絶対に報酬の高さよりテレビ放送の穴を開けないことを取ります。アニメ業界の構図は信用で成り立っています。それは、アニメを放送する媒体であるテレビ局との信用であり、その会社のアニメだという名前に対するアニメファンへの信用です。そのため、遊技機を打って当たった一部の人にしか見てもらえず、アニメ制作会社の名前もクレジットされない遊技機アニメーションの仕事は、重要度としては最下層なのです。これを解消するためには、まずその版権のテレビシリーズの元請け会社には依頼をしないことです。もしどうしても2Dのテレビシリーズや劇場版レベルのアニメーション演出が欲しい場合には、孫請けのアニメ会社か、アニメ出身の遊技機映像制作を行う専門会社に依頼することが大事です。ただアニメを作っているというだけでなく遊技機の仕事をこなし、進行の感覚やパチンコユーザーの求める絵作りを意識してアニメーションさせられるアニメ会社は少ないです。特に70〜80年代の劇画チックな版権ものだと、今活躍しているアニメ会社の中でも更に対応できる会社は狭まってきます。私のオススメはポイント・ピクチャーズという会社です。遊技機の実績はこちらでは書けないですが、すでに数十本のタイトルを手掛け、劇画チックな作品をも、最新の劇場版クオリティで表現できる手法を持った会社なので、ぜひ制作実績を見てみて欲しいです。
その他にも、数々の炎上案件をこなしてきたいわゆる「火消し職人」のような会社はいくつか知っており、ご紹介も可能です。炎上案件を見極めるスキルなど、営業に役に立つアドバイスも無料でお伝えしていますので、ぜひお気軽にご相談ください。