2016.03.24
株式会社フジゲームス設立まであと1週間 フジテレビがゲーム事業に本格参入でゲーム業界は変わるのか
2016年3月15日、フジテレビジョンとフジ・メディア・ホールディングスは、2016年4月1日付で、フジテレビのゲーム事業の運営、新規スマートフォン向けゲームの企画・プロデュースを主軸とするゲーム事業会社、フジゲームスを設立すると発表しました。リリースによると、株式会社フジ・メディア・ホールディングス(本社:東京都港区、代表取締役社長:嘉納修治、以下「FMH」)及び、株式会社フジテレビジョン(本社:東京都港区、代表取締役社長:亀山千広、以下「フジテレビ」)は、ゲーム事業について簡易新設分割による分社を行い、2016年4月1日付にて株式会社フジゲームス(以下「フジゲームス」)を設立するとのことです。
すでに、フジテレビのゲーム&インキュベーション事業部、株式会社フジ・スタートアップ・ベンチャーズ(以下、「FSV」)と株式会社gumiとの合弁で2014年1月に設立された、スマートフォン向けゲーム事業を行う株式会Fuji&gumiGamesが番組連動タイトルや PC 向けゲームを主軸に「ファントム オブ キル」、「誰ガ為のアルケミスト」など連続ヒットを記録しています。大型タイトル「シノビナイトメア」のリリースも控え、絶好調に見えますが、なぜ株式会Fuji&gumiGamesとは別に、新たなゲーム会社を設立するに至ったのでしょうか。
今までもフジテレビは、フジテレビのHP内で「フジテレビゲームス」というページを用意し、ゲーム事業部としての活動を水面下で行ってきました。主にyahooモバゲー、ネイティブアプリ、PCオンラインゲームなど複数プラットフォームでの展開、ガチャを回すだけの簡易なゲームから恋愛シミュレーションゲーム、版権作品とのコラボをしたカジュアルゲーム、実写競馬ゲームなどジャンル問わず様々なゲームを開発・リリースしてきて肩慣らしをしてきた印象があります。
そして2014年、株式会Fuji&gumiGamesという形でスマートフォンゲームアプリ市場で一定の成功パターンを経験した現在、子会社であるフジテレビの1事業部として株式会Fuji&gumiGamesと提携しながらゲーム事業を進めていくよりは、ゲーム専門子会社を作ってそこを窓口にした方が税金対策・外注管理・採用ともに身軽になるという考えが見えてきます。ゲームの雄、gumiとの協力関係にあるとはいえ、gumiも全部社内で開発をするわけではなく、外注を使う事もあるでしょう。その場合のお伺いを立てるのに上に何社も親会社がいるのでは動きにくいと言うこともあったのかもしれません。
こうしてフジテレビをすっとばしてフジ・メディア・ホールディングスの直下子会社化したフジテレビゲームスはより機動力を上げ、フジテレビ放送網以外にも、フジ・メディア・ホールディングスが持っている出版なども含む版権を利用したリッチゲームの開発制作を行うと共に開発者の社内採用と外注先確保の強化に乗り出す者と思われます。
DeNAやGREEが自社開発を進め始めた際もそうでしたが、メディア運営事業者にとって何か唯一の価値がない限り場所代を取るだけではいつか強力なコンテンツが現れた場合ユーザー離れしてしまう恐怖があります。より確実に価値を高めていくためには自社のオリジナルの資産が必要です。現状Fuji&gumiGamesではgumiの開発力・企画力に頼ってしまっている面が目立ちますので、よりフジ色を出した、フジのオリジナルIPを育てていきたいということが伺えます。各ソーシャルSAPも固定IPを持ったコンテンツホルダーとのコラボアプリを多数出してファン層を獲得していますが、今後このフジゲームスの動きのように、IPホルダー自身が自社で開発体制を持ち、リリース・運営まで行うとなったら数年後、IPものの市場はそちらに取られてしまう可能性もあります。IPを扱うゲーム会社は開発スタッフからも人気なので、人材の動きも激しくなってくるのではないかと予想します。フジゲームスとしての戦略動向によりまだ未知数ではありますが、今後の業界全体の動向は注意してみた方が良さそうです。
参考・画像引用:http://www.fujimediahd.co.jp/pdf/SPJyfC98yTiYBMni.pdf
フジ・メディア・ホールディングスHP