2016.05.09

アニメ おそ松さん 大ヒットアニメに学びたければ制作者の声を聴け 赤塚不二夫ドキュメンタリー映画が公開中

e5e47_650_ed02d8a6_bb5393d3最近ようやく見ましたおそ松さん

いま、アニメ界を騒がせているアニメといえば、『おそ松さん』です。赤塚不二夫の漫画『おそ松くん』の主役の6つ子が成人した後を描いた、赤塚不二夫生誕80周年企画のアニメーションです。原作や最初のアニメ(当時は白黒)では、さしてそれぞれの個性もなく全く同じ顔が6つで全員いたずら好きという設定だったおそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松の6つ子ですが、成長していく過程でそれぞれキャラ立ちし、今や各松のイメージカラーが付いています。そしてそんな松たちのダメ人間っぷりを描く本作にはなぜか多くの大人のお姉さんファンが付き、それぞれに「推しメン」ならぬ「推し松」を応援するガールズたちの熱い視線が注がれています。

あまりにも周りの過熱っぷりがすさまじく、1話をリアルタイムで見て以降はあえて距離を取っていた私ですが、なんとその1話が問題表現のせいでお蔵入りになったというニュースを聞き、たまたまだけど見れた縁もあるのだろうと思いなおして、全話見てみることにしました。(今ならHuluで2週間無料で見放題です)感想としては、「1話がやばいならこれ全部やばいだろう。。。」ですが、ゆるくダークな下ネタ満載お下劣アニメだと思いきや、哲学的な問いかけや、作画重視の昨今のアニメの風潮に逆らったキャラクターデザイン(たまに乙女ゲー風になるけど)、果ては女子になったり劇画になったり世紀末になったりと非常に丁寧に情熱込めて作られているアニメです。なんとその人気のせいか女性向け雑誌『anan』にアニメキャラとしては史上初の表紙グラビア&インタビュー掲載されるそうなんです。『anan』といえば、「抱かれたい男」ランキングなどを定期的に発表している大人の女性向けキラキラ雑誌で、果たして松野家のニートたちが表紙を飾っていいものなのか激しく不安ですがきっとこれも彼らニートを養いたい・貢ぎたいお姉さま方にバカ売れするのではないかと予想します。

main_imgなぜ、おそ松さんはこんなにも売れたのか

おそ松さん人気は、放送終了後も過熱の一途をたどっています。現在も東京・大阪・名古屋・福岡の4都市でおそ松さんコラボメニューを展開する「おそ松さんカフェ」が運営され、現在公開されている1週間後の予定まですべて事前予約は満席になっています。いまをときめく人気男性声優の起用や、たまに現れる乙女ゲーム風キャラデザなどがその人気の要因ではないかという話も出ていますが、人気男性声優たちは他のアニメにも引っ張りだこですし、キャラデザもいくらでもイケメン風キャラは他アニメに出ています。そして声優たちもそちらに出演しているときのほうがはるかに「お金を稼げる声」を使っています。あえて地声っぽいのがいいのだ。という意見には私も賛成しますが、決して声優人気やビジュアルだけで成り立っているアニメではありません。『おそ松さん』だけで考えると、あまりにも設定が他と比較にならなさ過ぎて混乱してしまいます。これに続けと同じような昭和のアニメのリバイバルを行ったとしても似たような結果にはならないでしょう。

『おそ松さん』ヒットの裏には、元祖『おそ松くん』との関係性が切っても切り離せないところにあります。『おそ松くん』も当時絶大な人気を得て、イヤミの独特の驚きポーズ「シェー!」は国民的ギャグとして当時の子供たちなら誰でもやっていたというほどにメジャーでした。そもそも、『おそ松くん』を作った赤塚不二夫は、『ひみつのアッコちゃん』なども生み出している、元少女漫画家です。『ひみつのアッコちゃん』も、何度もアニメ化され実写化もされた大人気タイトルですし、ギャグ漫画の世界に飛び込んでからは、『天才バカボン』など同じく何度も映像化され、愛され続ける漫画を作り続けるヒットメーカーでした。今後『おそ松さん』を超えるヒットアニメを作りたいと思ったら、希代のヒットメーカーであった赤塚不二夫自体にまでさかのぼってフォーカスしていかなければヒットの法則は解明できないでしょう。

54999ヒットコンテンツを作るには作者の目線に立つこと

今回の『おそ松さん』だけでなく、ヒットコンテンツを作るためには作者の視点に立つということが必須になります。ラクジョブの「ラク」は「楽しむ側から楽しませる側へ」という意味があってつけられています。ラクジョブで就職・転職活動をし、いつか日本中を巻き込む大ヒット作品を作るだろうクリエイターのみなさんには、ぜひ「楽しませる側」の視点を手に入れてほしいと常々考えています。

そこで、おすすめなのがこの映画です。

本人の肉声や彼と付き合ってきた仲間や娘たちが語る大ヒットメーカーの姿。天才、赤塚不二夫はどのように考え、どのように創作活動に向き合ってきたのかがわかるドキュメンタリー映画が、現在東中野と下北沢で上映されています。
6つ子の顔をコピペで作ったというとんでもエピソードや、その赤塚不二夫スピリッツを受け継ぎつつ、ろくでもない6つ子が大人になったあとをもとからのファンも納得させ初見の女子をも虜にした『おそ松さん』として作り上げた監督のインタビューも盛り込まれた内容です。

大ヒット作『おそ松さん』の監督も、赤塚不二夫さんの研究には余念がなかったことがわかります。赤塚不二夫さん本人、周辺の有名クリエイター、『おそ松さん』監督のインタビューが一挙にみられるのはこの機会だけです。ぜひ未来のヒットクリエイターの皆さんは映画館へ足を運んでみてくださいね。

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PROFILE

大山 莉加 執行役員

大山莉加

ラクジョブ運営会社ビ・ハイア株式会社のBLofBLにして、千葉出身の東京都港区民。肉食系女子に見せかけたBL。BL好きのコスプレイヤーと思いきや日本で最もアニメゲームマンガ業界の案件情報、ビジネスマッチングに優れてるのでは・・・と思わせる情報量。彼女のおかげで倒産の危機を乗り切ったり、突然ラインが空いた!!という悲劇を乗り切ったアニメゲームマンガ業界の社長も多い。