2016.04.14

ゲーム ユーザーの思考 LINE、FACEBOOKなど対話アプリが過熱する一方で進む、リアルのぼっち化

appliゲームユーザー層は何を考えているか

昨今、スマホゲームなどが過熱し、どんどんリッチ化が進んで開発コストも5億円を超えるアプリも登場するなどスマホゲームアプリの成熟期を迎えています。株式会社セガゲームス セガネットワークス カンパニーが2015年4月に行った調査では、15~49歳のスマホ保有者の6割がスマホゲームをプレイしていることがわかったとする結果が発表されています。そして、同じぐらいの割合で使用されているのがSNSアプリです。最近では、ゲームの中に「SNSでシェアする」などのボタンがついているものもあり、スマートフォンで行う一連のユーザー行動の中でゲームとSNSが密接に関わっていることが伺えます。

phoneSNSで特に力をいれているのは対話

特に最近、SNSで力を入れているのは対話アプリです。筆者の大山世代でいうSNSの筆頭はミクシィでした。ミクシィは、主にミク友の日記をチェックしコメントを残すことでコミュニケーションを図るSNSで、同じ趣味を持ったユーザー同士で入会する「グループ」などの機能もあり、面白い日記を書いている人、同じ趣味の人とSNS上で出会い、実際にグループのオフ会などで会うというところまでが導線として引かれて居たように思います。しかし、昨今のSNSでは少し様子が変わってきています。実際に会うことではなく、SNS上での対話そのものがゴール地点に据えられており、しかもそれは対人で無くても良いという風潮になってきているのです。4月12日、フェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は世界で9億人が利用するフェイスブックメッセンジャー上での新しいサービスを発表しました。それは、人工知能(AI)を使ったボット機能です。対話アプリにAIを入れ込むことで、ユーザーのメッセージに対して自動応答していくという内容になっており、メッセンジャーを使用して簡単な対話と選択だけで商品購入なども可能になると言うことなのです。他にも、マイクロソフトのSkypeやテンセントのウィーチャット、LINEの企業トークルームなどでAIが使用され自動対話が実装されています。商業が絡むものでなくても、マイクロソフトの女子高生AI「りんな」が話題になりました。AI相手に一方的に話しかけ、反応が返ってくるというこの作業にユーザーは何を期待しているのでしょうか。

IMG_3292わずわしい関係は不要

一方、日経新聞社会面で取り上げられていたのは、休日ディズニーランドに1人で遊びに行き、普段から1人で行動をしているという22歳の女性です。彼女は普段証券会社の営業職として働き、学生時代にはハロウィンパーティーを運営したりと対人が苦手というわけではなさそうですが、あくまで社会的なネットワーク維持のための人間関係と、自分個人としての趣味嗜好は切り分けて考えているようです。仕事上、社会関係上必要な分の人間関係は構築しつつも、個人としては「ぼっちでいい」。こうした20代前半の若者が増えていると日経新聞では指摘されています。武蔵野大学では「ぼっち飯同好会」なるサークルが誕生し約10名が活動しています。それだけ集まればもはやぼっち飯ではないのでは?とも思いますが、その活動内容はTwitterなどのSNSを利用し、「きょうは天気がいいので外でぼっち飯」などとつぶやくことだというので驚きです。前述したAI相手の対話アプリと同じ構造で、自分のつぶやきに対しての反応はあってもなくてもよく、反応があったとしてもその相手が人でなくてもいい。ということなのです。

実際に、私の個人Twitterやフェイスブックのフィードには、ゲーム画面のキャプチャで「SSRキャラゲット」など、反応してほしいのかしてほしくないのか困るような個人的な備忘禄にも取れるコメントが大量に流れています。人間が人間らしく有るための要素に「承認欲求」というものがありますが、現代の若者はわずらわしい関係性なしにして承認だけしてくれればいいという風に考えているのかも知れません。若者に限らず、私の実家の母なども50代ですが箱庭系アプリで部屋を作ったりアバターを着替えさせたりに一生懸命で、そのゲーム内の特定プレイヤーと、アバター着替え日記のコメント欄で仲良く会話を楽しんでいます。分かっているのは相手は「大阪に住んでいる主婦」という情報だけで、しかもそれが本当なのかどうかは誰にも分かりません。相手が誰だったとしても、個人の趣味に没入している楽しさを認めて反応してくれるなら満足する、ということなのでしょう。

Console Connection Game Wifi Technology Joystick Conceptリアルはぼっちでも、SNSやゲームには人がいる

「ぼっち」というと寂しいイメージがありますが、前述の記事を読んでいる限り各個人納得して「ぼっち」を楽しみ、同じく「ぼっち」たちが集合している場であるSNSやゲームに参加することでネット上での社交を充実させているように感じます。匿名で当たり障り無く、ぼっちでいながらも最低限の承認欲求は満たせるつながりを持ちたい。それがAIのボットなどの対話アプリの加熱と、一見相反するようなぼっち化の2つの事象の整合性がとれている心証なのではないでしょうか。SNS業界は対話アプリの充実を図っていく方向に進んで言っていますが、ゲームは今後どのように変化して行くのでしょうか。SNSと密接に関わり、ぼっち達がうごめく同一ユーザー層を抱えるゲーム業界の今後の動きに注目です。

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PROFILE

大山 莉加 執行役員

大山莉加

ラクジョブ運営会社ビ・ハイア株式会社のBLofBLにして、千葉出身の東京都港区民。肉食系女子に見せかけたBL。BL好きのコスプレイヤーと思いきや日本で最もアニメゲームマンガ業界の案件情報、ビジネスマッチングに優れてるのでは・・・と思わせる情報量。彼女のおかげで倒産の危機を乗り切ったり、突然ラインが空いた!!という悲劇を乗り切ったアニメゲームマンガ業界の社長も多い。