2016.04.14
漫画 電子書籍 AmazonのKindleに3割薄い端末が登場!2ヶ月充電不要!?
電子書籍という概念が生まれておよそ25年。明確に電子書籍元年と銘打たれて漫画業界の歴史が大きく代わり始めてからまだほんの5年ほどです。最初の電子書籍用リーダーは1990年に発売されたソニー製電子ブックプレイヤー「データディスクマン」で CD-ROMを記録メディアに使用したタイプもの。その後、1993年にNECが3.5インチ・フロッピー・ディスクを使用した「デジタルブックプレーヤー」を発売しました。これは、5.6型モノクロ液晶画面と数個のボタンで操作する点やサイズ感なども現在のAmazon Kindleと似ており、この頃の日本の、本を電子媒体で読みたいという情熱と発想力はAmazonよりも先に行っていたのではないかと思わせられます。2000年代になると、携帯電話の普及と共に電子媒体専門プレイヤーではなく携帯電話で小説や漫画、書籍が読める電子書籍ビューワーが発達してきます。この頃、各電子書籍書店など課金方式が確立していて会員制のサイトがたくさん出てくるようになりました。
そうした会員制月額課金モデルの電子書籍サイト時代から決定的に体制が変わり、電子書籍元年とされたのは2010年、Apple社からiPadが発売されたことがきっかけでした。実際の書籍と変わらない大画面で様々な書籍・漫画・小説などが楽しめるようになり、携帯の小さい画面では味わえなかった図鑑やイラスト集などの色彩の美しさや漫画の繊細な線の表現などが最新の大画面ディスプレイで楽しめることと、本をめくるかのように直感的に操作できる操作感が読書家心をくすぐりました。
今まで各携帯のプロバイダーを通して対応する電子書籍サイトに個別に月額登録をし、月額課金額の範囲内でしか購入が出来ずAサイトでは取扱がある漫画がBサイトでは買えないといったようなムラがあった市場が、前述した操作性・表現の幅が大きな強みになり、iPadやKindle時代の購入を行いたいと考える顧客層が増えたことと、出版社の参入やKindle発売元である全世界向けオンライン書店最大手であるAmazonからの直接的コンテンツ供給によってユーザーにとってストレスフリーに読みたいものを探しやすくなったことで電子書籍業界全体の販路拡大につながりました。携帯電子書籍時代には、一端ネットをつないでサイトから閲覧するという手間がかかってしまいましたが、iPadやKindleは一端ネットからダウンロードすればオフラインでも複数書籍をいつでも読めるという利点が有り、電子書籍端末そのもののスタイリッシュさも相まって持ち運び型電子書籍の普及を多いに助けました。
電子、すなわち電池を必要としているという点では携帯電話端末も電子書籍端末も同じです。しかし、大きく違う点はマルチメディア端末か、専門端末かという点で、電話やメールなどの通信手段がメインの携帯電話端末で漫画など容量の重いものをオンラインで読んでしまうと一気に電池が減ってしまい、連絡を取りたいときに連絡を取れなくなってしまうという問題があり、その点で専門端末である電子書籍端末であれば、電池が減ってしまったとしても連絡手段という重要なインフラを損なうことが無く、その点が評価されている部分でした。しかし、同時に専門端末がゆえ使わないときは邪魔になってしまいます。初代iPadは厚さ13.4ミリ680g、同時期に発売された第3世代Kindleは厚さ8.5ミリ247gと、Kindleと比べてもiPadは持ち運びには少しストレスを感じる重量感でした。Kindleは軽かったですが、その分iPadと比べるとちゃちさが目立ってしまう印象です。電池耐久時間はiPadは最大10時間、Kindleはネットにつなげた状態で最大10日です。たくさん読めば読むほど電池の持ちは減りますので、充電が無くなってしまった電子書籍媒体はちょっと存在感のある荷物にならざるを得ませんでした。
2010年の時点でもiPadとKindleの重さや電池耐久時間などスペックがだいぶ違うことが分かって頂けたかと思います。端的に言うとiPadは本を読むだけにしてはオーバースペックでした。その後iPadは電池の耐久を伸ばし、電子書籍端末からPCに取って代わるマルチメディア端末として別の進化を遂げます。一方Kindleは更に軽さ・薄さを追求して邪魔にならない電子書籍端末として成長して行きました。そして、今月27日最新の「Kindle オアシス」が発売となります。従来機種より厚さを3割薄く重さを2割軽くし厚さ3.4ミリ、重さ131gとしたほか、約2ヶ月間充電しなくても利用できるようにし、これまでの移動時間の読書を助けるだけでなく、自宅に大量の本を置けない読書家などにも有効そうです。バッテリーが内蔵された新型カバーも発売され、Kindleを装着するだけで自動的に充電ができ、とことん読書に対してストレスフリーな作りになって居ます。Amazonのような小売りの会社は営業利益が低く、在庫が整理できない限り売上にもつながりにくいのですが、Kindleという自社コンテンツを作成したこともあり、ここのところ売上はうなぎ登りです。反面、利益は少なく一見して薄利多売モデルのようですが、Kindleを育てていくための投資期間として見ているのかもしれません。新Kindleの売れ行きで今後の電子書籍マーケットを完全に抑えられるかが見えてくると思いますので、今後も注目していきたいと思います。
参考 http://www.garbagenews.net/archives/1966403.html