2016.01.14

ジャンプ流! 浦沢直樹の漫勉 漫画を描くなら プロ漫画家のペン先を見よう

T_CO_furumuhnwo_001_0001-0_2L漫画家を目指すきっかけは人生揺るがす良い漫画を読んだこと

漫画家志望の人なら、ほとんどの人が漫画を好きになるきっかけがあり、多大な影響を受けているものだと思います。私自身も幼少期に『ちゃお』や『りぼん』を読んで種村有菜先生や小花美穂先生の漫画を読み、キラキラした主人公の女の子に憧れ、彼女達を時に手助けし、時にライバル関係を育みながら成長させてくれる周りのキャラとの関係性にドキドキしながら漫画を楽しんでいました。そうしていく内に、自分でもこういう絵を描きたいと、キャラクターの絵を模写して過ごすようになりました。描いても描いても全然思い描いた絵に近づかない焦燥感と、それでも描くこと自体が楽しく、「目が納得いく形に描けた。」とか「今回の髪の毛の感じが好きだ。」とか段々とパーツパーツで納得いく形に描けていくことに達成感を感じて、いつかは『ちゃお』か『りぼん』か『なかよし』に自分の漫画を掲載出来るときが来るようにひたすら練習を重ねるようになっていきます。子どもの頃の夢は、ズバリ漫画家でした。

manga勢いだけでは枠線にストーリーを収めることができませんでした

しかし、漫画家を目指すには決定的な弱点が私にはありました。キャラを描くのは好きだけど自分の考えたストーリーをうまく枠線に収められないという大きな壁にぶち当たったのです。描けないポーズや見せたいと伝えたいことが思うように枠内に収められない。導線が決められない・・・。幼少期を経て小学校、中学校に上がるにつれて自分で同人誌を描く機会も生まれましたが、最後まで導線を作る事や枠線にストーリーを収めること、自分の理想のイメージを紙面に描くことはできませんでした。そこで私は「きっと私には向いていない。世の中には、かっちり自分の描きたいものを白紙に収められるもっと向いている人達がたくさん居る。」そう思って漫画家になるのを諦めてしまいました。私の周りの、漫画好きの中にも同じような意見の人が何名かいました。「自分には向いていない。もっと上手に描きたいのに、描けない。」このジレンマと戦って、しんどくなって辞めてしまうのです。

manben「漫勉」ではじめて分かった漫画家の苦しみと努力と探求心

しかし最近、漫画家浦沢直樹さんの企画で放映している『漫勉』という番組を目にする機会がありました。そこで見た人気漫画家・重鎮漫画家たちは皆一様に「描きたい絵が描けない。」と悩んでいるのです。1ページの1コマの、1キャラの1つの表情に満足行かず、何度も何度も描き直している様子を見て、当たり前のことなんですがその時初めて「漫画家は天才ではなく努力と探求心の強い人がなるものなんだ。」と気づきました。例えば、『うしおととら』で有名な漫画家藤田和日郎さんは、キャラの「目」を最終的にOKと決めるまで1時間半使い、それが終わってからも既に書き終わった原稿を見直して「表情が気に入らない」と7回も描き直しますし、『天才柳沢教授の生活』で有名な漫画家山下和美さんは、4時間近くかけた原稿を没にして、初めて挑戦する和紙と筆で頭の中の理想の絵柄を追求します。

さらに、漫画家さんによってこだわりポイントは様々。ペンの運ばせ方、スピード、ペン先の描いている音すらも全く違います。かつて漫画家を夢見て、勝手にハードルを上げ、漫画に向いている天才じゃないとできないんだと自分を納得させて諦めたかつての自分に、『漫勉』を見せていたら、もしかしたら考えを改めていたかも知れません。完成し紙面に載っている漫画を見ているだけではわからない、自分のイメージを紙に載せる難しさに毎回毎回対面している漫画家たちの様子がそこに収められていました。芸術は天才が作るのでは無く、限りなくイメージを具現化するのにこだわる人達が作って行くのです。

jumpryu裏側を見てなお挑戦したいと想う人に未来のプロ漫画家がいる

最近では、漫勉の他に『週刊少年ジャンプ』の連載陣にそれぞれ密着し漫画を作る工程をDVD付きで紹介する『ジャンプ流!』も創刊されました。これらのコンテンツは単にファン層・読者に向けたものと言うよりはもうちょっとコアな、かつての私のように漫画が好きすぎて描かずには居られなかった層に向けられているように感じました。漫画を読む側と描く側の境界線は限りなく曖昧になってきています。読者というお客さんに向けて完璧なものを出し、裏側の苦労は隠すというかつてのマーケティングから、「裏側も含めて理解を深めたい」という、より濃いファンと一緒にコンテンツを作り上げていき、業界自体を盛り上げていく大きな流れを作って行こうということなのでしょう。漫画家1人1人が技を極め、悩みながら正解の線を探して言っているというリアルな姿を見せることによって、より漫画の手法が画一的ではなく、また天才や優等生だけがなれるものというわけでもなく、それぞれが独自のイマジネーションや方法論を極めていった先に完成形があるのだということがわかり、『漫勉』や『ジャンプ流!』の取り組みは漫画家を目指す人にとって非常に有意義なものなので、ぜひ見てみていただければと思います。見ると、描きたくなります。ただ、私はやっぱりここまでこだわりを追求する胆力はないなと思った野で、やはり書く方は向いていないようです。。。(笑)私は私なりに、これから自分のイメージを外部に表現していきたいと考えるクリエイターの方をどんどん送り出していくお手伝いをして行きたいと想います!業界発展!

浦澤直樹の漫勉
http://www.nhk.or.jp/manben/

ジャンプ流!
http://www.jumpryu.com/

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PROFILE

大山 莉加 執行役員

大山莉加

ラクジョブ運営会社ビ・ハイア株式会社のBLofBLにして、千葉出身の東京都港区民。肉食系女子に見せかけたBL。BL好きのコスプレイヤーと思いきや日本で最もアニメゲームマンガ業界の案件情報、ビジネスマッチングに優れてるのでは・・・と思わせる情報量。彼女のおかげで倒産の危機を乗り切ったり、突然ラインが空いた!!という悲劇を乗り切ったアニメゲームマンガ業界の社長も多い。